特集

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おさじの処方箋

第3回 自然の香りでキレイを支える
精油がもたらすメリットとは?


植物に含まれるさまざまな成分がぎゅっと濃縮されている精油。現代において、もっとも一般的な精油の抽出方法は、水蒸気蒸留法です。植物を蒸して蒸気をつくり出し、その蒸気を一気に冷却して水に戻すと、植物に含まれる成分が含まれたいわゆる「フローラルウォーター といわれるものができます。そして、そのフローラルウォーターの上に分離して浮いている油膜が、精油となる部分です。


肌のバリア機能を低下させる要因、
ストレスのケアには精油が活躍
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精油の一番のメリットは、シンプルに言えば“香り”です。自然と調和しながらも、アクティブに働く香り、ともいえます。私たちの肌は、精神の状態と密接に連動しています。精神的なストレスが溜まれば溜まるほど、肌のバリア機能が落ちていくというのは、論文などでも明らかになっていることです。逆にいえば、ストレスが溜まっていない人は、バリア機能が高まっていくといえます。
食生活なども含めてのことですが、当然ながら質の良いライフスタイルを送れている人は肌が荒れにくく、美肌に近づきやすいですよね。なので、1日の始まりや終わりに、精油の香りをリフレッシュやリラックスのツールするのは効果的だと思います。朝であればすっきりする香り、夜であればゆったりとした気分になれる香りと、自分の好きな香りをかいで「ああ、幸せ」と感じる時間をつくるのは美容にとって重要なことです。ダイレクトな肌への作用というよりは、香りによって感じた幸福感は脳を通じてストレスを軽減してくれます。香りを活用して日々のストレスを小マメにリセットすることが、肌のバリア機能アップに繋がっていきます。

かつての西洋医学では
精油の解析から生まれた薬も
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精油にはたくさんの種類がありますが、スキンケアにもよく使われる代表的な精油にはラベンダーやティーツリーがあります。ラベンダーはもともと、ヤケドをした時に使ってみたことから肌の治癒力を促す作用が発見されました。収れん作用のあるティーツリーは、毛穴の引き締めに有効といわれています。
さまざまな精油それぞれに効能があり、海外ではメディカルハーブやメディカルアロマセラピーという分野もあります。東洋の考え方でいうところの漢方薬のような扱われた方で、悩みに合わせて時には精油をブレンドし、キャリアオイルで希釈して肌に塗布することでトラブルのケアをしてきたわけです。
精油の薬効はおばあちゃんの知恵袋的な、伝統や経験の蓄積をもとに統計学的にまとめられていったものです。高度経済成長時代の西洋医学では「ラベンダーの精油をヤケドに用いたら、治りが早い気がする…」といった現象を化学的に解析することで「精油の中のある低分子化合物が働いているのではないか」とつきとめられるようになりました。精油から発見した低分子化合物をヒントに医薬品が開発されたケースはいくつもあります。

古くは薬として使われてきた精油
天然由来でも副作用はあります
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頭痛薬に使われるアスピリンなども、紀元前から頭痛や熱に対して用いられていたという柳の樹皮から抽出された、サリシンが発展したものです。ただし、逆をいえばアスピリン系の薬を飲むと胃が悪くなってしまう方もいるように、優れた鎮痛作用があるといっても使い方を間違えば副作用が出ることもあります。
精油もまた、さまざまな成分が濃縮されていて、それぞれに薬効のようなものが認められてはいるものの、天然のものだから副作用がない、という理屈はどこにもないのです。例えばニンニクにしても、血行促進や滋養強壮に良いとされる一方で、たくさん食べ過ぎると胃がもたれ、元気を出そうと思って食べたはずが逆に消化力が下がってしまったりしますよね。植物でも同じことが言えます。
精油は、基本的に希釈をして使うもの。刺激もそれなりにあるものだということを理解した上で使うようにしましょう。次回は、質問に素朴な疑問にお答えするかたちで、精油のデメリットについてももう少しお話しします。

profile

茂田正和
1978年11月生まれ / 所属団体:日本皮膚科学会所属、 日本皮膚アレルギー、 接触皮膚炎学会所属、 日本化粧品技術者会所属、 日本香粧品学会所属、 こどもを紫外線から守る会主宰、 バランスケアアソシエーション主宰 / 執筆実績:リンネル(宝島社)、 大人のおしゃれ手帳(宝島社)、 momo(マイルスタッフ)、 スキンケア大学(リッチメディア)、 フレグランスジャーナル(フレグランスジャーナル社)

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