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おさじの処方箋

第18回
アウターケアとインナーケア
その境界線を把握して丈夫な美肌に

化粧品を使ったスキンケアで、肌の外から成分を届けて働きかけるアウターケア。食事やサプリメントで摂取した栄養成分によって、体内から細胞に働きかけるインナーケア。うるおい、なめらかさ、ハリ、弾力、血色感、ツヤ、すべて揃った丈夫な美肌を育むには、アウターとインナーの両輪ケアが必須です。そこで今回は、肌の構造においてアウターケアが有効なのはどこまでで、インナーケアが有効なのはどこからか、その境界線をひも解いて見たいと思います。


角質層より深い部分のケアは
体内からのほうが効率的な理由
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皮膚の角質層にはバリア機能が備わっており、そのすぐ下には細胞と細胞の隙間をぴったり埋めるタイトジャンクションというものがあって、外から異物が体内に入り込まないようになっています。ゆえに、化粧品を塗りこんでもその成分が働く領域は基本的には角質層までです。もちろん、角質層以下にある表皮や真皮には刺激による信号が届いていたりと、化粧品をつけることが皮膚の深部とまったく無関係かといえば、そんなことはありません。とくに表皮については、分子量によっては成分が届かないこともない微妙なゾーンなのですが、化粧品の成分を表皮まで浸透させることはあまり有効な方法とはいえません。

人間の体の代謝メカニズムは非常に良くできていて、体の中に何かを入れるということは、どちらかというとリスク要因のため、さまざまな代謝のプロセスを経て無毒化していくようになっているのです。なので、化粧品を肌に塗る、すなわち経皮吸収で成分を取り入れる場合、角質層に吸収されながら成分が無害化され、生体親和性が高くなるのであれば問題ありません。ところが角質層のバリアを突破し、表皮や真皮まで成分を届かせようとすると、それは体としては想定していないことで、場合によっては刺激のサインと受け取ってアレルギー反応に繋がったりします。安全性の高い化粧品づくりにこだわってきた開発者としては、ここにアウターケアの限界があり、角質層以下はやはりインナーケアで対応すべきと感じています。

アウターケアでメラニン生成を
強制的に抑えることの弊害とは
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インナーケアの効果をしっかり出すには、角質層以下の領域である表皮や真皮が、肌にとってどんな役割を担っているか、あらかじめ把握しておくことが重要です。まず、表皮の基底膜に存在するメラニンは肌の色を決めている要素です。メラニンが過剰生成されるとシミになることは皆さんご存知と思いますが、このメラニンを抑制したい場合も、より安心度が高く効率が良いのは実はインナーケアからのアプローチです。

そもそもメラニンというのは、細胞の核の中にあるDNAに紫外線が到達しないよう、遮光カーテンのような働きをして守るためにつくられます。メラニン生成は、体に備わっている防衛機能のひとつなのです。具体的には、DNAにダメージを与えるのは紫外線を浴びた時やストレスなどによって発生する活性酸素で、この活性酸素を消去できる体内環境を保てていれば、メラニンが余分に生成されることはありません。活性酸素が体内で過剰になった状態が続くと、体が酸化して細胞がサビつき、最終的にDNAまでダメージが及びます。なので、インナーケアでビタミンCなどの抗酸化成分を十分に摂り、内側から酸化を防げばメラニンの過剰生成にも適切なブレーキをかけられるのです。

一方で、アウターケアとしての美白ケアは、美白成分の入った化粧品を塗って表皮の奥の基底膜にあるメラノサイトまでアクセスし、メラニン生成のプロセスを強制的に抑制することです。これはある意味、体に備わる防衛機能が発動しにくくすることであり、天然の遮光カーテンであるメラニンの生成を止めるのであれば、通年でかなり徹底した紫外線カットをする必要があります。うっかり強い日差しを浴びてしまった場合には、美白ケアをしてない肌よりもむしろダメージが細胞の中のDNAや真皮層まで及びやすくなり、皮膚ガンリスクの上昇、肌の脆弱化が進み光老化によるシワやたるみが発生しやすくなってしまう可能性もあります。

真皮のクオリティ向上も狙うなら
なおさらインナーケアが重要に
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肌のハリや弾力を担う土台である真皮については、コラーゲンなどの繊維質が関わっているわけですが、これもまたアウターケアで化粧品を塗って真皮のコラーゲンを増やしましょう、というのはかなり無理がある話です。真皮の直下には毛細血管が走っていることもあり、食べ物やサプリメントによるアプローチのほうが影響を与えやすいのです。インナーケアで摂った栄養成分は、内臓系の代謝プロセスを経て真皮に有益なかたちとなって血液に存在するため、毛細血管から必要な分だけがチャージされます。化粧品を肌の外からから真皮近くまで無理に浸透させようとする時に起こりがちな、副作用的な反応の心配もないでしょう。

化粧品の成分の中には、シワに有効とされるレチノールなど、海外の化粧品だと角質層以下まで働きかける濃度が許容されている成分もあるにはあります。しかし、日本の化粧品で真皮まで成分を届けることは、非常にハードルが高いのです。もとよりレチノールという成分に関しては、真皮に浸透してシワの改善やハリを生み出しているわけではなく、表皮を変質させることでハリ感を叶える成分です。肌の弱い人だと、乾燥、かゆみや赤み、皮ムケなどが起こることも多く、やはり真皮そのもののハリ・弾力を向上するにはインナーケアが近道だと思います。

というわけで、いわゆるキメの整え、角質層のコンディショニングには化粧品によるアウターケア、角質層以下の表皮や真皮といった深部からの肌質の向上にはインナーケアが望ましいという境界線が明確になりました。シミのない透明感のある肌や、年齢を重ねてもシワやたるみの出にくい強く健康な美肌づくりには、是非ともインナーケアの見直しもおすすめしたく、次回からは食べ物やサプリメントの具体的な取り入れ方を紹介していきたいと思います。


茂田正和
1978年11月生まれ / 所属団体:日本皮膚科学会所属、 日本皮膚免疫アレルギー学会、 日本化粧品技術者会所属、 日本香粧品学会所属、 こどもを紫外線から守る会主宰、 バランスケアアソシエーション主宰 / 執筆実績:リンネル(宝島社)、 大人のおしゃれ手帳(宝島社)、 momo(マイルスタッフ)、 スキンケア大学(リッチメディア)、 フレグランスジャーナル(フレグランスジャーナル社)

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おさじの処方箋
第18回 アウターケアとインナーケア、その境界線を把握して丈夫な美肌に
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