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感性を磨く、わたしの贅沢時間
レコードで音楽を聴くこと
ヒト・コト・モノ
from OSAJI Journal
2023.1.23
昨年で、化粧品開発者としての歩みが丸20年を迎えたOSAJIのブランドディレクター 茂田正和。実はそれ以前には音楽業界で働いていた経験を持ち、音楽を聴くことにはちょっぴりこだわりがあるそう。今回は、レコードで音楽を聴くことへのこだわり、そのなぜ?の部分をお話します。
レコードで音楽を聴くことは
デジタルで聴くのとどう違う?

最近の僕の興味関心はもっぱら料理に傾いていますが、社会に出て働き出した当初はレコーディングエンジニアだったこともあり、レコードで音楽を聴くことは長年の趣味といえます。ここ数年間で、音楽はiPhoneひとつあれば家でも車の中でもあらゆるジャンルをカジュアルに聴けるようになりました。ただ、レコードで聴く音というのは、そういったデジタルデバイスで聴く音とは、たとえ同じ曲であってもやや質が違ってきます。

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通常、人間の耳で聴き取れる音の周波数の範囲は20Hz〜20kHzです。音楽を記録するフォーマットは、時代とともにレコード、カセットテープ、CDやMD、デジタルファイルのダウンロード、ストリーミング(ネットに接続した状態で再生)というように変遷しましたが、CD以降はこの20Hz〜20kHzの範囲のみで音が記録され、それ以外の領域の音の周波数はカットされるようになりました。しかし、日本の皮膚科学研究者 傳田 光洋さんもその著書*の中でおっしゃっていたように、人間は皮膚からも音楽の微細な周波数を感じ取って“聴いている”といわれています。
*『驚きの皮膚』傳田 光洋 著(講談社)

レコードとカセットテープには20Hz〜20kHzの範囲以外の周波数も記録されるため、デジタルデバイスで聴くよりも、より体感的に音楽を感じられます。そのため、もっとアナログな生演奏の音楽は「薄着で聴いたほうがより感度よく楽しめる」なんてこともいわれています。レコードというのは、そういったごく繊細な周波数の音まで体験できて、なおかつ正方形のジャケットはひとつの絵として視覚からも楽しませてくれます。ごく自然に耳と目の感覚が集中するような“それでしか得られない体験がコンポジットされている”のがレコードの魅力です。

純度の高い音に身を浸して
心地よく感性を研ぎ澄ます

お部屋でなにか作業しながらとか、車の運転をする時のBGMなら、iPhoneやPCから流すデジタルな音もいいと思いますし、僕自身も活用しています。レコードで音楽を聴くことと、デジタルデバイスで聴くことの違いというのは、絵を見る時に原画をじっくり見つめて味わうか、リトググラフなどでさらっと楽しむかの違いに似ているように思います。デジタルの進化で、音楽をはじめ最近はいろいろなものを簡単にコピーできるようになってきました。でも、そんなイノベーションにちょっと疲れてきた今、僕の心身はオーセンティックでプリミティブなもの、つまり本物や原型が持つ純度の高さを求めている気がします。レコードのような原点的アイテムから得られる安心感は、生活の中で繰り返し取り入れ続けても、不思議と飽きがこないのです。

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忙しく生活していると、頻繁にレコードを聴く時間はなかなか取れないかもしれません。でもだからこそ、ライブに行って音楽を楽しむことと、お家や移動の時にエアポッドで音楽を聴くことの、中間的レイヤーとしてレコードを聴くというのもぜひ加えてみてください。レコードプレーヤーそのものは、自分の好きなルックスで選んでOKです。ここでお見せしているガラード以外だと、ラックスマンやヤマハのプレーヤーもおすすめです。そしてレコードの音を増幅するアンプ、それを鳴らすスピーカーも大事で、僕の場合は海外製のものをネットで探したりしますが、国内メーカーならサンスイのアンプなどもいいですね。
ちょっといいお酒を買ってゆっくりできる夜、あるいは美味しいコーヒーを淹れる休日に。レコードプレーヤーの針を落としてレコードの音に耳を傾けるというのは、なかなか贅沢な感性磨きの時間になると思いますよ。

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〈ガラード レコードプレーヤー〉
宝石商であるガラードより、1945年に分社した歴史あるオーディオメーカー「Garrard Engineering and Manufacturing Company」。蓄音機のモーターのほか、とくにレコードプレーヤー用のターンテーブルにおいては非常に音色豊かな銘機を製造していたことでも知られています。
*本人私物
text : Kumiko Ishizuka
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