本格的な冬が到来。寒さから身体も縮こまり、血の巡りなどが滞りやすい時期。そこで今回は、“血行”をテーマにOSAJIディレクター 茂田正和と料理家・ハーバリスト葉子さんのおすすめ料理をご紹介します。
葉子
寒さが日に日に増してきますね。冷えは百害あって一利なし。万全な対策をとりたいところです。
茂田
身体を温める、血の巡りを促すことは、選ぶ食材や調理方法によって様々なアプローチができますよね。スパイスや香味野菜、良質なタンパク質、とろみのある温かなスープなどが分かりやすいでしょうか。
葉子
身体を温める食材というと、やはり代表的なところでは生姜・にんにくです。生姜の代表成分“ショウガオール”には燃焼効果を高め、熱を作り出す働きがありますし、にんにくに含まれる“アリシンが”代謝をあげて血行を促進してくれます。
茂田
辛いものが苦手な方でも美味しく食べられる食材として私のおすすめはゆず胡椒。ゆずと唐辛子が混ぜ合わされている調味料ですが辛味が少なく、カプサイシンの作用で身体がじんわりと温まります。そして香味野菜の代表格といえば、日本の冬には欠かせない食材である⻑ねぎ。“硫化アリル”という栄養素が含まれていて、血行を良くして身体を温める働きがあります。
葉子
香味野菜は鍋や煮物などの冬料理には欠かせませんよね。例えばイタリアンパセリは香味野菜の一種であり、洋食によく使われる万能ハーブですが、胃液の分泌を活発にして消化を促進させたり、食欲を増進させたりする働きがあります。消化器系が活性化されることで身体の巡りが良くなり、ビタミン・ミネラルも豊富ですので、身体全体を整えてくれる名脇役です。
茂田
また別の視点でいうと、豆腐や鶏肉といった良質なタンパク質は、消化される過程で熱が作られます。筋肉を構成する栄養素ですから、⻑期的に言えば筋肉量が増えることで基礎代謝や熱量を上げることにもつながります。
葉子
熱を生み出しやすい身体づくりは、食事でサポートしていきたいポイントで、腸内環境から根本ケアをしていくことも大切です。腸内細菌は熱を作るはたらきがあり、じゃがいもやにんじんといった、食物繊維やオリゴ糖などの腸内細菌のエサになる栄養素が豊富な根菜類を取り入れることは、広義に捉えると身体を温めることに繋がります。
茂田
今回のレシピは身体の巡りうんぬんもさることながら、何よりお酒の進みそうな2品です(笑)。夜⻑のお供にぜひ。
by 葉子さん
れんこん・にんじんは皮付きのまま乱切り、かぼちゃは薄切りに、いんげんは斜めに切る。ごぼうは斜め切りにして水にさらし、じゃがいもは皮を剥いて乱切りにして蒸しておく。
オリーブオイルを入れたフライパンを中火で熱し、かぼちゃといんげん、れんこん、にんじん、ごぼうに焼き目を付け1度取り出す。みじん切りにしたニンニクと潰したアンチョビ、鷹の爪を加え香りが立ったら、じゃがいも、刻んだケイパーとパセリ、マスタード、白ワインビネガーを加えて強火にし、一気に乳化させる。残りの具材を全て入れ、塩胡椒で味をととのえたら完成。
消化器系を活性化させ、穏やかな刺激と香りで身体の内側から温まるレシピに仕上げました。多彩な根菜をアンチョビとニンニクで風味付けし、食欲そそる、そしてお酒が進む味わいです。
by 茂田正和
火を入れる前に、生の鶏ひき肉に冷ました出汁を加えてしっかり混ぜる。そこに⻑ねぎの⻘い部分と生姜ひとかけ、みりん、日本酒を入れて火にかけ、弱火で一煮立ちさせる。煮立ったら⻑ねぎと生姜は取り出し、ゆず胡椒と塩で味を整える。
⻑ねぎの白い部分は白髪ねぎにして水にさらし、生姜も千切りに。
あらかじめ水を切っておき短冊切りにした絹ごし豆腐をスープに入れて中火にかける。水溶き片栗粉を入れてとろみをつけ、白髪ねぎと生姜の千切りを乗せたら完成。
麻婆豆腐を優しい味わいで仕上げたような一品。ポイントは最初の鶏ひき肉を生の状態で出汁としっかり混ぜ合わせること。混ぜてから火にかけることで、透き通った美しいスープになります。