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バーラウンジ併設ゲストハウスの
先駆的ホステルとOSAJIのご縁

茂田本間さんと最初にお仕事をご一緒したのは、本間さんがSanu を立ち上げる前の会社で、僕たちもオフィスを構える東日本橋エリアにカフェやバーを併設したホステル「CITAN」をオープンされた時ですよね。

本間さんそうですね。お互い共通の知人がいてその前からお知り合いでしたが、次のホステルを立ち上げようというタイミングで「ぜひOSAJIをアメニティにしたいです」となって。その「CITAN」も今年で5年です。

茂田そうですよね、OSAJIも同い年なので5周年を迎えました。理想とするホステルを立ち上げ、話題となり、軌道に乗せていった先にどんな想いが芽生えて新たにSanu を創業されることになったのでしょうか?

本間さん前の会社が100人を超える従業員数になった時、やはり少人数で会社を立ち上げた当初の熱量とスピードで物事を進めることが難しくなってきていました。このまま熱量が下がると、宿が傾くことに繋がると感じ、2年くらいかけてトップダウン型の組織形態から、フラットに一人一人に意思決定を託す組織形態に転換していきました。自主性を持って何をやりたいかを考え、周りにプレゼンして納得してもらったら、それを責任を持って進めてもらいます。

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茂田「ティール組織*」ですね。日本ではまだ広がっていない組織形態ですが、とても興味があります。

*社長や上司の指示による組織マネジメントや予算や売上の目標設定など、従来型組織の慣例を廃し、個々の社員が意思決定権を持ち、それぞれの意思によって目標の設定や実現を図る次世代型の組織形態。

本間さんそれまで消極的に見えていた社員が、個性的なアイデアを出してくるようになったりしました。「ティール組織」であることと、それぞれがより良い日常の延長をつくる意識を持つことは、セット要素だと気づきました。そんな活気づいた光景を見て僕自身も“次は何をやろう”となって。仲間とブレストするうちに、「自然の中にホテルをつくる」というのがヒットしたんです。僕自身が自然豊かな福島県・会津若松の生まれということもあって、圧倒的な感動は自然の中にあると思ってきたので。

茂田群馬が本拠地の僕も、自然を求めてよく車を走らせているので共感します。都会でユニークな宿やサロンを立ち上げてプロデュースしてきた本間さんが自然に強く惹かれる理由がわかりました。

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定期的に自然を訪ねられる
サブスク型の背景にはコロナ禍が

本間さんただ、誰もが自然のあるところに拠点を移せるわけではないし、サーフィンやスキー、登山にしても、自然の中でのフィジカルな遊びを仕事にできるわけでもないですよね。都会で働く人が、ちょこちょこ自然にお邪魔させてもらうための宿をつくる、しかも宿をつくることがカーボンネガティブ*を実現し、自然の回復を促すことにもなる、というところまで目指したいと思ったんです。

*カーボンネガティブ(Carbon negative)経済活動によって排出される温室効果ガス(CO2や水蒸気など)よりも、植林活動などによって吸収する温室効果ガスが多い状態を指す。

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茂田それで環境に配慮した別荘、2nd Homeというところに向かうわけですね。

本間さん5年くらい前から「自然というフィールドで仕事をしたい」という気持ちは湧いていたのですが、「SANU 2nd Home」がサブスク型サービスとして完成した背景には、2020年の非常事態宣言があります。ZOOMを使えば仕事は問題なく進められることがわかって、サーフィンが好きな僕は千葉に部屋を借りました。その時の、仕事をしながらすぐに海にも入れる生活というのが、自分の心身にとってものすごく健康的な良い体験だったんです。

茂田確かに自然が近くにあると、仕事をしていてもオンオフのバランスが整いやすいですよね。

本間さんはい。とはいえ、この感覚を宿泊サービスに落とし込もうとした時、ホテルではないし、B&B*だと当たり外れが起こりやすい。別荘というのが近いけれど、セカンドハウスを持つのはハードルが高い…となって。それで、今月ちょっと海に行きたいな、あるいは山に行きたいなと思った時「そういう旅に出せる金額は5万円前後じゃない?」という結論にいたりました。

*「Bed & Breakfast」の略。宿泊と朝食がセットになった簡素な宿。家族経営が多く、通常の住宅や民家をリフォームした小規模施設が一般的。相部屋、バストイレの共有などにより、手頃な料金で利用できる。非英語圏では比較的低価格のホテルをこのように呼ぶこともある。

茂田コロナ禍によって具現化するチャンスを得て、このサブスク型サービスが誕生したわけですね。

本間さんいつかはきたであろう未来が、あの非常事態宣言の影響で加速した感じです。潜在的にあったものが、くっきりと意識に上ってくるのが5〜6年早まったような気がしています。

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地域の自然や人と共生するには
宿づくりを環境再生の推進力に

茂田あとは、宿をつくる土地の人の意識についてお聞きしたくて。地方のウェルカム感というのは現在のところどうですか? 難しさはあるのでしょうか。

本間さんまさにそこは、課題の一つですね。今までの観光業の影響から、どうしても“都市の人間がストレスを発散しにきて、自然を壊して帰っていく”というイメージを持たれる節はあります。でも人は、何度か訪ねてその土地に愛着が湧くと、そこの自然環境を守ろうとすると思うんです。“都会から消費的に自然に向かう旅”という時代ではもうなく、僕たちは“繰り返し通って自然の変化を認知しに行く旅”を提案していきたいです。

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茂田自然の変化を認知しに行くって、とても良いですね。僕らが環境の変化と皮膚の適応を見つめて化粧品づくりをする感覚と、どこか通ずるものを感じます。

本間さん5年、10年と時間をかけて「SANU 2nd Homeがあることで、自然環境も良くなっている」と言われるようになりたいですね。やるべきことは沢山あります。

茂田素晴らしいです。今後の具体的な展望はありますか?

本間さんSanu はまだ少人数のベンチャー企業ですが、一つ一つ課題をクリアしてリジェネラティブ(環境を再生する)な未来を見据えて突っ走っていきたいです。そして会員の方が世界の自然にも通うことができるよう、将来的にはアジアや欧米、世界中にSANU 2nd Homeを拡げていきたいと思っています。

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〈プロフィール〉
本間貴裕さん

Sanu Inc. ファウンダー/ブランド ディレクター
福島県会津若松市出身。2010年「あらゆる境界線を越えて、人々が集える場所を」を理念にゲストハウス・ホステルを運営するBackpackers’ Japanを創業。同年に古民家を改装したゲストハウス「toco.」(東京・入谷)をオープン、後に「Nui. HOSTEL & BAR LOUNGE」(東京・蔵前)、「Len」(京都・河原町)、「CITAN」 (東京・日本橋)、「K5」(東京・日本橋)をプロデュース、運営。2019年には次なる目標「人と自然が共生する社会の実現」を掲げ、Sanu Inc.を興す。

コーポレイトサイト:https://sa-nu.com

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SANU 2nd Home 山中湖 1st

Address:山梨県南都留郡山中湖村平野508-180
※山中湖ICより車で約12分。公共交通機関利用の場合はバス停「撫岳荘前」より徒歩9分。

SANU 2ndサポートセンター
Tel:03-6555-5401
Mail:2ndhome@sa-nu.com
HP:https://2ndhome.sa-nu.com/