ペレス千夏子さん
調香からサンプル作りまでをペレス千夏子さんが行い、その後、パートナーであるジョフレさんが製品に仕上げていくというTOKYO KODOの香りづくり。そもそも、ペレス千夏子さんが香りの道に進むきっかけはなんだったのだろう。
千夏子さん
東日本大震災をきっかけに家業でもある、お香(香りの道)について考えるようになりました。その後、香水の本場、南仏グラースで原料や調香などを学びたいと思い、Grasse Institute of Perfumery(グラース・インスティチュート・オブ・パフューマリー)での留学を決めました。朝から晩まで香り漬けの日々を過ごすうちに気付けば香りの世界に魅了されていました。異文化のクラスメイト、恩師達、そしてグラースで出逢った全ての方々に感謝しています。
TOKYO KODOの原点に
フレグランスについての基礎と、香りをつくり上げる工程を学んだというフランスでの日々。その経験は千夏子さんにどのような影響をもたらしたのだろうか。
千夏子さん
南仏グラースで修行中、原料を通して世界中の植物に触れる機会に恵まれ、植物の力に癒されました。TOKYO KODOのお香は、植物がベースで作られています。植物達は自分達のエネルギーを燃焼させながら、香りとなって私達をサポートしてくれています。地球の産物である植物、鉱物、動物、虫達へのリスペクトを込めて“Connect With Nature -自然との共存、なるべく天然香料を用いた製品づくり-”という現在のTOKYO KODOのコンセプトに至りました。我々と同様に植物にも個体差があり、ユニークな存在です。1%の配合バランスで香りが良くも悪くも変化します。バランスが合致し調和がとれた時の香りの旋律は、とても美しく感動的です。
自然豊かな環境で生み出される香りとは
フランスから帰国後、元々あった屋号「東京香堂」を受け継ぎ、お香の新たな価値を創造し、伝えたいという思いから立ち上げたというTOKYO KODO。白檀(びゃくだん)や沈香(じんこう)など、古来より使われている原料を使用しながらも、どこか新しさを感じるTOKYO KODOの香りはどのような環境で生まれるのだろう。
千夏子さん
自然に囲まれた環境で製作したいという思いから、子供の頃に慣れ親しんだ地(母方ゆかりの地である群馬県 利根川上流)のほとりにご縁をいただき、アトリエを構えることができました。四季折々の自然を感じ、心身を整えながら製作することの大切さを日々感じています。
形を変えて変わる香り方と楽しみ方
いろいろな制限に、まだまだ不便を感じることの多い毎日。お香を焚くという行為は、香りを楽しむだけでなく、自分のリズムを一度リセットして心身を整えるための新しい生活習慣のような印象を受ける。
千夏子さん
インセンスの魅力は、その場の雰囲気を瞬時に変えることができるところだと思います。また、常に香りがあるのではなく、香りのオン&オフができるのも魅力です。そして、香煙は唯一香りを“見る”ことが可能で、その煙の美しさも魅力のひとつです。焚いている時間(約15分)は、少し手を止め、心を鎮め、ゆったりとした時間を感じていただけたら幸いです。
自分と向き合う時間
今回のコラボは、OSAJIで元々展開していたオードトワレをインセンスティック〈お香〉にしていただくというもの。夕菅・檜葉・沈香の3種の香りは、トワレからお香へと形を変え、その楽しみ方はもちろん、香り方も全く新しいものになっているのが印象的だ。
千夏子さん
人気のフレグランスの香りをどうお香として表現するか…。今回、その点に一番気をつけました。肌に付けて使用するフレグランスから空間の拡がりで香りを楽しむお香へ。なるべくフレグランスから受ける印象と解離がないよう配慮致しました。香りの感じ方の強弱は人によって異なり、またその日の湿度や体調によっても異なります。まずは試してみていただいて、無理なくお楽しみいただけたらと思います。
そして、はじめて茂田さんにお会いした際にうかがった、OSAJIを立ち上げたときの想いや情熱がいまでもとても印象に残っています。今回のコラボアイテムを通じて、「皮膚を通して豊かな生活を届けたい」というOSAJIの想いに少しでも寄り添うことができれば幸いです。
HP:https://tokyokodo.online